介護福祉施設サービス(介護老人福祉施設)の制度と支援内容
掲載内容:2026年6月1日施行の介護報酬改定に基づく内容
まず知っておきたいこと
- どんなときに使う?
- 常に介護が必要な人が特別養護老人ホームで暮らし、食事・入浴など日々の支援を受けます。
- 費用が変わるのは?
- 要介護度、部屋の種類、施設の支援体制などで変わります。食費・居住費とその軽減制度を別に確認します。
- 次はどこへ相談する?
- 市区町村・ケアマネジャー・施設に、入所条件、申込み、待機中の支援を相談してください。
詳しい対象条件と根拠は、この後の説明に掲載しています。
特養を検討する本人・家族へ。原則要介護3以上の入所条件と特例、毎日の介護、看護職員の人数、従来型とユニット型の部屋を説明します。30日分の介護費の例、食費・居住費の軽減、申込みと待機中の相談先も紹介。
参考表示の地域:地域未選択(地域ごとの実施・単価は別途確認)
家での介護が難しくなったとき、生活の場として考える特養
特別養護老人ホーム(特養)は、日常的な介護が必要で、自宅で暮らすことが難しい人が、食事・入浴・排せつの介護や健康管理を受けながら生活する施設です。介護保険では「介護老人福祉施設」と呼びます。ここでは定員30人以上の施設を説明します。
入所してからも、本人ができることや望む暮らしを大切にします。起きる時間、好きな食事、体を動かすこと、家族との交流を計画に取り入れ、生活を支えます。体調と生活環境を定期的に確かめ、自宅へ戻れる場合の支援も検討します。
定員29人以下の特養は「地域密着型」で、利用する地域の条件や料金区分が異なります。施設の名称だけでなく、指定の種類を確かめて比較しましょう。
29人以下の地域密着型特養を見る
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新たな入所は原則要介護3以上。1・2の特例も相談できる
新たに入所する人は原則として要介護3~5です。家で生活することが難しい事情がある要介護1・2の人は、特例入所の対象になる場合があります。施設と市区町村へ、介護度に加えて日々困っている状況を伝えます。
要介護1・2の特例入所で考慮する事情| 事情 | 伝えたい具体的な状況 |
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| 認知症 | 生活に支障が出る症状・行動や意思疎通の難しさが頻繁にある。 |
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| 知的障害・精神障害等 | 障害に伴う症状・行動や意思疎通の困難で、日常生活に支障がある。 |
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| 安全を保てない | 家族等による深刻な虐待が疑われるなど、安全・安心の確保が難しい。 |
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| 家族の支援と地域のサービスが足りない | 一人暮らしや家族の高齢・病弱等で支援を期待できず、地域の介護・生活支援も不足している。 |
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特例に該当する旨の申立てがある場合、要介護1・2という理由だけで申込みを受け付けない扱いは認められていません。申込みの受付後に必要性を検討するため、申込みができたことと入所が決まることは別です。
介護認定の申請・見直しと相談先を見る
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食べる・清潔を保つ・動く・人と過ごす生活を支える
施設で受ける日々の支援| 生活の場面 | 行うこと |
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| 食事と栄養 | 好みや体の状態に合う食事と介助。栄養状態を確かめ、計画的に管理する。 |
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| 入浴・清潔 | 週2回以上、体調に合う入浴または体を拭く清拭。着替えや身だしなみも支える。 |
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| トイレ・排せつ | 本人の力を生かした介助と、必要なおむつ交換。床ずれを防ぐ支援も行う。 |
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| 口の健康 | 歯や口の状態に合わせた衛生管理を計画的に行う。 |
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| 動作・交流 | 生活の動きを保つ訓練、趣味や行事、家族との交流や外出の機会をつくる。 |
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ケアマネジャーが本人・家族と面接し、職員の意見を合わせて施設サービス計画を作ります。目標と支援の内容を説明し、文書による同意を得た計画は本人に渡します。入所後も面接と確認を重ね、体調や希望が変わったときは見直します。
家族は、普段の呼び方、落ち着く過ごし方、食事の好みなども伝えられます。本人が希望を言葉にしにくいときも、表情やこれまでの習慣を手がかりに、その人に合う暮らしを相談します。
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介護・看護は合計3対1。看護職員数は入所者数で変わる
介護職員と看護職員を合わせ、入所者3人ごとに常勤換算1人以上が基本です。前年度の平均が60人なら20人分以上。新設は推定人数です。常勤換算は職員の勤務時間を合計した人数で、その人数がいつも同時に勤務しているという意味ではありません。
看護師・准看護師の人数(常勤換算)| 前年度の平均入所者数 | 看護職員の最低人数 |
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| 30人以下 | 1人分以上 |
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| 30人超~50人 | 2人分以上 |
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| 50人超~130人 | 3人分以上 |
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| 130人超 | 3人分に、130人を超える50人またはその端数ごとに1人分を加える。 |
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看護職員は少なくとも1人が常勤です。このほか、医師を健康管理に必要な人数、生活相談員を100人ごとに常勤1人以上、栄養士または管理栄養士と機能訓練指導員を各1人以上置きます。ケアマネジャーは原則常勤・専従で1人以上、100人ごとに1人が標準です。
定員40人以下の施設で他施設の栄養士等と連携する場合など、条件付きの特例や兼務があります。施設長には、社会福祉主事の任用資格に当たる人、社会福祉事業に2年以上従事した人、同等以上の能力を認められる人という資格要件があります。
ユニット型では、昼間は各ユニットに介護・看護職員を常時1人以上、夜間は2ユニットごとに夜勤1人以上、各ユニットに常勤リーダーを置きます。従来型も常時介護職員を確保します。見学では夜勤の実人数、担当する範囲、看護師の勤務時間を聞いてください。
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従来型とユニット型で、部屋と食卓の使い方が変わる
ユニット型は個室と共同生活室をひとまとまりにし、少人数で食事や交流をするつくりです。従来型の個室・多床室もあり、施設ごとに生活の動線や居住費が違います。現在の国の原則的な基準は次のとおりです。既存建物には経過措置があり、すべての部屋にそのまま当てはまるわけではありません。
居室と共同空間の基準| 場所 | 従来型など | ユニット型 |
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| 居室 | 原則1人。支援上必要なら2人。1人当たり10.65㎡以上。 | 原則1人10.65㎡以上。支援上必要な2人室は21.3㎡以上。 |
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| 暮らしのまとまり | 食堂・機能訓練室等を施設で使う。 | 1ユニットは原則おおむね10人以下、最大15人。 |
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| 食事・活動の場所 | 食堂と機能訓練室は合計で定員×3㎡以上。定員60人なら180㎡以上。 | 共同生活室はユニット定員×2㎡以上が標準。10人なら20㎡以上が標準。 |
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| 廊下 | 原則1.8m以上、中廊下2.7m以上。 | 同じ幅が基本。円滑な往来を確保できる場合は1.5m、中廊下1.8m以上の特例。 |
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要介護者が使える浴室・トイレ、医務室、呼び出し設備、消火設備等も備えます。本人の車いすで移動できるか、介助を受ける場所の広さ、食卓までの距離、夜の呼び出しと避難を見学で確かめます。
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介護費に食費・居住費を足して、月の支出を考える
介護費は要介護度、部屋の区分、施設の体制や加算等で変わります。下表は通常の特養の基本介護費を、1単位10円・1割負担・加算減算なしで表した1日分です。要介護1・2の欄は特例入所等の対象者の料金です。
1日の基本介護費の例(1単位10円・1割)| 要介護度 | 従来型個室・多床室 | ユニット型個室等 |
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| 要介護1 | 589円 | 670円 |
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| 要介護2 | 659円 | 740円 |
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| 要介護3 | 732円 | 815円 |
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| 要介護4 | 802円 | 886円 |
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| 要介護5 | 871円 | 955円 |
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要介護3でユニット型個室を30日使う場合、基本は815×30=24,450単位。処遇改善加算Ⅱイ15.9%だけを加える例では3,888単位が増え、合計28,338単位です。1単位10円なら1割28,338円、2割56,676円、3割85,014円。地域単価やほかの加算・減算で変わります。
これに食費・居住費、理美容代などの日常生活費を足します。おむつ代は介護保険の給付に含まれ、別途徴収する扱いではありません。特別な部屋や食事など、希望して選ぶ費用も、金額の説明を受けて同意します。
食費と居住費の負担を軽くする「負担限度額認定」は、所得や資産等の条件を満たす場合に市区町村へ申請します。介護費の自己負担が高い月の「高額介護サービス費」とは別です。どの制度で何が軽くなるのかを分けて確認し、施設に月の総額の見積書を出してもらいましょう。
特養の部屋別の基本単位と加算を確認する
介護扶助など国の公費制度を見る
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夜間の医療連携と、入院後に戻るときの条件を確かめる
医師や看護職員が健康状態を見て必要な対応を行い、急変時は施設の医師・協力医療機関と連携します。連携方法は年1回以上見直します。医師や看護師の勤務時間、夜間の相談・受診・入院の流れは施設ごとに確認します。
入院後おおむね3か月以内の退院が明らかに見込まれる場合は、本人と家族の希望等を踏まえ、やむを得ない事情を除いて円滑に再入所できるようにする基準があります。同じ部屋を無条件で空け続けるという約束ではないため、入院中の居室・費用・連絡方法を契約時に聞きます。
持病への対応、必要な医療処置、受診の付き添い、看取りの希望も入所前から相談します。必要な治療と施設の対応範囲を合わせ、主治医・家族・施設で無理のない支援を考えます。
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必要性を伝えて申し込む。待つ間の生活も一緒に相談する
- ケアマネジャーや市区町村へ、自宅で難しくなった介護と家族の事情を相談する。
- 施設へ申込方法を聞き、要介護度、心身の状態、介護する人の状況を具体的に伝える。
- 見学し、部屋・食事・昼夜の職員・医療連携・家族との交流を確かめる。
- 月額の見積りを受け、負担を軽くする制度を市区町村に相談する。
- 施設の入所検討を経て、契約と支援計画の説明に同意し、入所する。
国の指針では、入所の必要性が高い人を優先します。申込みの早さだけで順番が決まる仕組みではありません。申込後に介護度や家族の病状が変わったら、施設へ情報を更新してください。
待っている間の生活を支えることも大切です。訪問・通所・ショートステイ等をケアマネジャーと調整します。家で安全を保てない、介護する人が倒れそうといった切迫した事情は、そのまま窓口へ伝えましょう。
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本人の権利を守り、事故や困りごとに対応する
身体を縛るなどの制限は、生命・身体を守るため緊急やむを得ない場合を除き禁止です。例外時の理由等を記録し、適正化の委員会を3か月に1回以上開きます。虐待防止の体制、感染症・食中毒対策、災害への備えと支援を続ける計画も整えます。
事故が起きた場合は家族や市区町村等へ連絡し、必要な対応と再発防止を行います。感染症等の委員会はおおむね3か月に1回以上開き、研修・訓練を行います。本人と家族の情報は秘密として守り、他の支援機関へ提供する際はあらかじめ文書で同意を得ます。
計画、支援、苦情・事故等の記録は国の基準で完結から2年間保存し、自治体の条例等で長い場合があります。困ったときは管理者や生活相談員へ。解決しない場合は、市区町村の介護保険窓口や国民健康保険団体連合会にも相談できます。
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出典・掲載範囲
2026年6月施行の介護報酬と国の特別養護老人ホームの基準・入所指針に基づきます。料金例は1単位10円で食費・居住費等は別です。既存建物の経過措置、自治体の条例・入所指針、加算届出、実際の部屋と医療・介護体制を合わせて確認してください。
利用する前のQ&A
特養の費用は、要介護度だけで分かりますか?
対象:介護福祉施設サービス(介護老人福祉施設)・地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護
掲載内容:2026年6月1日施行の介護報酬改定に基づく内容
要介護度に加え、従来型・ユニット型などの居室や施設の区分、加算が関係します。地域密着型の特養は別の報酬区分で確認します。
介護保険の自己負担と食費・居住費は別に聞きましょう。補足給付などの軽減には申請と条件があるため、「要介護○なら毎月○円」と一つの金額だけで入所費全体を決めません。
根拠・参考:介護福祉施設サービス(介護老人福祉施設):算定解説と根拠資料(当該サービスの費用の構成・対象条件・掲載期間。各項目に一次資料への参照を掲載) 地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護:算定解説と根拠資料(当該サービスの費用の構成・対象条件・掲載期間。各項目に一次資料への参照を掲載)
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